看護師の職場には、救急医療センターやICUをはじめ、患者の生死を左右する所も珍しくありません。こうした医療現場で働く看護師にかかる精神的負担は大きく、中にはストレスと重圧感のためにメンタル面に異常をきたし、離職してしまう看護師もいます。このような心理的圧迫感による離職を防ぐためには、職場探しをして患者の生命に関わる危険性が低い職場に転職することも選択肢の一つとなるでしょう。患者の命に関わるような場面が少ない診療科としては、軽度の患者が多い皮膚科や眼科が挙げられます。
もちろん、メラノーマなどの皮膚がんや眼腫瘍といった深刻な病に罹患する患者もいますが、その数は他の診療科より少ないと言えます。特に、美容皮膚科や脱毛クリニックなど、美容に関する診療科は、原則として健康な人しか訪れません。精神科や心療内科も、身体の疾病に罹患した患者が少ないので、生死を左右する場面は滅多にありません。このほかにも、健康な人が訪れる職場として、健診センターや人間ドックをはじめ、トラベルクリニックや献血ルームなどが挙げられるでしょう。
地域医療に貢献する保健所も候補にあがります。旅行に付き添う添乗看護師や、大勢の人を集める興行の保健室に詰めるイベントナースといった単発の仕事もあります。また、保育園や介護施設に勤める看護師も、衛生管理や感染予防に努めることが主要な業務となり、生死を左右する場面にはほとんど遭遇しません。企業に勤める産業看護師も、社員の健康管理を担うだけで、重篤患者の治療に当たることはないでしょう。